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VPNを複数同時接続するVPNチェーン(カスケード)のメリット・デメリット

この記事でお伝えする内容
  • VPNチェーンのメリット・デメリット
  • VPNチェーンで接続する方法
  • Linux環境とはどのようなものか
目次

VPNチェーン(カスケード)のメリット・デメリット

VPNチェーン(カスケード)は、複数のVPNサーバーを連続して経由する方法であり、セキュリティやプライバシーの強化に役立ちます。しかし、この手法にはメリットとデメリットの両方があります。

メリット
デメリット
  • プライバシーの向上
  • セキュリティの強化
  • 地理的制約の回避
  • 通信速度の低下
  • 設定が複雑
  • コストの増加

VPNチェーンのメリット

プライバシーの向上

通常のVPNでもインターネットトラフィックはVPNサーバーを経由するため、ユーザーのIPアドレスが隠され、プライバシーが向上します。VPNチェーンを使用することで、トラフィックが複数のサーバーを経由し、その都度IPアドレスが変わるため、さらに追跡が難しくなります。

各サーバーでIPアドレスが変更されるため、個人を特定するのがより困難になります。

セキュリティの強化

通常のVPNは単一のVPNサーバーでトラフィックを暗号化します。これにより、データがインターネット上を安全に移動することができます。VPNチェーンでは、トラフィックが各VPNサーバーで再暗号化されます。

複数の暗号化層を通過することで、データの盗聴や改ざんのリスクがさらに減少します。中間者攻撃(MITM)などの攻撃に対して、追加の防御層が提供されるため、セキュリティが強化されます。

地理的制約の回避

通常のVPNでも、異なる国のサーバーに接続することで、地理的制約を回避できます。VPNチェーンでは、複数の国のサーバーを経由するため、検閲やアクセス制限を回避する能力がさらに高まります。

例えば中国でアクセスが制限されているコンテンツに対しても、複数のサーバーを経由することで、より確実にアクセスできるようになります。

VPNチェーンのデメリット

通信速度の低下

VPNチェーンを使用することで、各サーバーを経由するたびに通信の遅延が発生します。特に、複数のサーバーを経由する場合、遅延が累積し、全体の通信速度が低下することがあります。

ストリーミングやオンラインゲームなど、リアルタイム性が求められる用途には適していません。

設定が複雑

VPNチェーンの設定は、単一のVPN接続に比べて複雑です。各サーバーの接続設定を適切に行い、ルーティングテーブルを正しく設定する必要があります。技術的な知識が求められるため、初心者にとっては敷居が高いと感じるかもしれません。

コストの増加

複数のVPNサーバーを利用するため、それぞれのサーバーに対して利用料金が発生します。特に、有料のVPNサービスを複数利用する場合、コストが増加する可能性があります。

無料のVPNサービスを組み合わせることもできますが、信頼性や速度に問題があることが多いです。

VPNチェーン(カスケード)で接続する方法

複数のVPNに同時接続する3つの方法

  • VPNチェーン(カスケード)
  • 仮想マシン(VM)を使用する
  • 多重VPNトンネル

今回はVPNチェーン(カスケード)で接続する方法を紹介します。

VPNチェーン(カスケード)は、複数のVPNサーバーを連続的に経由して通信を行う方法です。

一つのVPNサーバーだけを利用するよりもさらに高いレベルのプライバシーとセキュリティを提供することができます。

VPNチェーンの仕組み

STEP
デバイスから最初のVPNサーバーへの接続

最初に、ユーザーのデバイスからVPNクライアントを使って第一のVPNサーバーに接続します。

この接続は通常のVPN接続と同様に暗号化され、ユーザーのIPアドレスが最初のVPNサーバーのIPアドレスに変わります。

STEP
最初のVPNサーバーから第二のVPNサーバーへの接続

第一のVPNサーバーは、そのトラフィックをさらに第二のVPNサーバーに転送します。

この際もトラフィックは暗号化され、今度は第二のVPNサーバーのIPアドレスが外部に表示されます。

STEP
さらに多くのVPNサーバーをチェーンに追加

セキュリティやプライバシーの要求に応じて、さらに第三、第四のVPNサーバーを経由させることができます。

各サーバーでトラフィックが再度暗号化され、その都度IPアドレスが変わります。

手動設定によるVPNチェーンの方法

VPNチェーンを構築するためには、マルチホップ機能(ダブルVPN、チェーンVPN)を持つVPNが必要です。

この機能は、ユーザーが一度の接続で複数のVPNサーバーを経由することができるように設計されています。

マルチホップVPN機能を提供しているプロバイダーはいくつかありますが、その中でも特に有名なものは以下の2つです。

NordVPN

ダブルVPN機能

NordVPNのダブルVPN機能は、ユーザーのトラフィックを2つの異なるVPNサーバーを経由させることで、プライバシーとセキュリティを強化します。

最初のサーバーで暗号化されたデータが、二つ目のサーバーで再度暗号化されます。

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Surfshark

MultiHop機能

SurfsharkのMultiHop機能は、ユーザーのトラフィックを二つの異なる国のサーバーを経由させることで、プライバシーを強化します。例えば、アメリカからイギリスへの接続などが可能です。

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STEP

最初のVPN(NordVPN)接続の設定

STEP
NordVPNのインストール

お使いのデバイスにNordVPNをインストールします。

公式ウェブサイトからダウンロード可能です。

インストール後、アプリケーションを起動し、NordVPNのアカウントにログインします。

STEP
NordVPNサーバーへの接続

アプリ内で希望のサーバーを選択し、「クイックコネクト」ボタンをクリックして接続を確立します。

STEP

二番目のVPN(Surfshark)接続の設定

STEP
Surfsharkのインストール

お使いのデバイスにSurfsharkをインストールします。

公式ウェブサイトからダウンロード可能です。

インストール後、アプリケーションを起動し、Surfsharkのアカウントにログインします。

STEP
新しい仮想ネットワークインターフェースの設定

二番目のVPN接続用に、新しい仮想ネットワークインターフェース(TUN/TAPデバイス)を設定します。

通常、これは自動的に行われますが、手動設定が必要な場合もあります。

STEP
NordVPN経由でSurfsharkサーバーに接続

新しい仮想インターフェースを使用して、Surfsharkのサーバーに接続します。Surfsharkアプリで希望のサーバーを選択し、接続します。

この設定を行うためには、ルーティングテーブルを調整し、トラフィックがNordVPNサーバーを経由するように設定する必要があります。以下はその手順です。

具体的な設定例(Linux環境での手動設定

ステップ1: 最初のVPN接続(NordVPN)

  1. NordVPNのOpenVPN設定ファイルを取得
    • NordVPNの公式ウェブサイトからOpenVPN設定ファイル(例:first_vpn.ovpn)をダウンロードします。これは、NordVPNのメンバーエリアから取得できます。
  2. NordVPNクライアントのインストール
    • Linux端末で以下のコマンドを実行して、OpenVPNクライアントをインストールします。sudo apt-get update sudo apt-get install openvpn
  3. NordVPNサーバーへの接続
    • 以下のコマンドを使用して、NordVPNのサーバーに接続します。first_vpn.ovpnはダウンロードした設定ファイルです。sudo openvpn --config /path/to/first_vpn.ovpn ←このコマンドをコピペする

ステップ2: 二番目のVPN接続(Surfshark)

  1. SurfsharkのOpenVPN設定ファイルを取得
    • Surfsharkの公式ウェブサイトからOpenVPN設定ファイル(例:second_vpn.ovpn)をダウンロードします。Surfsharkのメンバーエリアから取得できます。
  2. 新しいターミナルウィンドウを開き、Surfsharkの設定ファイルを使用して接続
    • 新しいターミナルウィンドウを開き、以下のコマンドを使用してSurfsharkのサーバーに接続します。ここで--dev tun1は、新しい仮想ネットワークインターフェースを指定します。sudo openvpn --config /path/to/second_vpn.ovpn --dev tun1 ←このコマンドをコピペする
  3. ルーティングの設定
    • Surfsharkサーバーへの接続がNordVPNサーバー経由で行われるようにルーティングを設定します。以下のコマンドを実行して、二番目のVPNサーバーのIPアドレスが最初のVPN経由でアクセスされるようにします。sudo ip route add <second_vpn_server_ip> via <first_vpn_server_ip> dev tun0
    • <second_vpn_server_ip>および<first_vpn_server_ip>は、それぞれSurfsharkとNordVPNのサーバーIPアドレスに置き換えます。
STEP

追加のVPNサーバーをチェーンに追加する場合

追加の仮想インターフェースの設定

  1. 三番目以降のVPN接続
    • 三番目のVPN接続についても同様に、仮想ネットワークインターフェースを設定し、ルーティングを設定します。例えば、三番目のVPN設定ファイル(third_vpn.ovpn)を使用して接続する場合:sudo openvpn --config /path/to/third_vpn.ovpn --dev tun2
  2. ルーティングの設定
    • 三番目のVPNサーバーのIPアドレスが、二番目のVPN経由でアクセスされるように設定します。sudo ip route add <third_vpn_server_ip> via <second_vpn_server_ip> dev tun1

Linux環境とは

Linux環境とは、Linuxオペレーティングシステム(OS)を使用するコンピュータやサーバーのことを指します。

Linuxは、オープンソースで無料で利用できるOSであり、多くのディストリビューション(バージョン)があります。

例えば、UbuntuFedoraDebianCentOSなどが有名です。

Linux環境は、サーバー管理、ソフトウェア開発、セキュリティ、ネットワーク管理など、さまざまな用途に広く使われています。

Linuxの特徴

Linuxはオープンソースソフトウェアであり、ソースコードは公開されています。

誰でも自由にソースコードを閲覧、変更、配布することが可能です。世界中の開発者が協力してバグ修正や機能追加を行え、常に最新の状態に保たれています

オープンソースの利点はセキュリティが向上し、コストが抑えられる点が挙げられます。

Linuxには数多くのディストリビューションがあり、それぞれ異なる目的やユーザー層に向けて設計されています。

たとえば、Ubuntuは初心者にも使いやすいディストリビューションです。

一方、CentOSは企業向けの安定性とセキュリティを重視しており、商用利用に適しています。

Linuxの使用方法

Linuxを使用するためには、ディストリビューションの公式ウェブサイトからインストール用のISOファイルをダウンロードします。

インストール方法

STEP
ISOファイルのダウンロード

例として、Ubuntuの公式ウェブサイト(ubuntu.com)から最新のLTS(Long Term Support)バージョンをダウンロードします。

STEP
インストールメディアの作成

ダウンロードしたISOファイルをUSBフラッシュドライブやDVDに書き込みます。

  • Rufus(Windows向け):
    1. Rufusを公式サイトからダウンロードし、実行します。
    2. USBドライブを選択し、ダウンロードしたISOファイルを指定して「スタート」をクリックします。
  • Balena Etcher(Mac向け):
    1. Balena Etcherを公式サイトからダウンロードし、インストールします。
    2. Etcherを起動し、ISOファイルを選択、USBドライブを指定して「Flash!」をクリックします。
STEP
BIOS/UEFI設定の変更

パソコンを再起動し、BIOS/UEFI設定に入り、USBドライブから起動するように設定します。

STEP
Linuxのインストール

インストールメディアから起動すると、インストーラーが表示されます。

指示に従ってインストールを進めます。パーティションの設定やユーザー情報の入力などがあります。

基本的な操作

Linuxの基本的な操作には、コマンドラインインターフェース(CLI)を使用することが一般的です。以下にいくつかの基本的なコマンドを紹介します。

  • ls:
    • ディレクトリの内容を一覧表示します。
    ls
  • cd:
    • ディレクトリを変更します。
    cd /path/to/directory
  • sudo:
    • 管理者権限でコマンドを実行します。
    sudo apt-get update
  • apt-get:
    • パッケージのインストール、アップデート、削除を行います(Debian系ディストリビューションの場合)。
    sudo apt-get install package-name

VPNチェーンのよくある質問と回答

VPNチェーンは無料のVPNでも可能ですか?

一部の無料VPNでもVPNチェーンが可能な場合がありますが、信頼性や速度の面で制約が多いです。無料VPNはサーバーの選択肢が限られているため、有料の信頼できるVPNプロバイダーを使用するのがおすすめです。

VPNチェーンを使用する際のログ管理とプライバシーはどうなりますか?

各VPNのログポリシーを確認し、ログを保存しない「ノーログ」ポリシーのプロバイダーを選ぶことが重要です。VPNチェーンを使用することで、各サーバーが異なるプロバイダーに属する場合、個々のプロバイダーが全体のトラフィックを追跡するのが難しくなります。複数のVPNを使用する場合、それぞれのプライバシーポリシーをしっかりと確認することが重要です。

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